取組事例紹介

現場の課題発見からスタートし、社長提案を経て、変革実現へ

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県の支援事業活用 現場の課題発見 社長提案 製造業事例

ファインネクス株式会社

ファインネクス株式会社には、女性管理職がまだいない。けれども、女性のパワーを活かすための継続的活動のあゆみは着実だ。与えられた課題解決だけでなく、課題発見からスタートした彼女らの活動は、「会社を良くしたい」、「働きやすく・働きがいのある場所にしたい」という気持ちであふれている。経営層とも連携した活動は、いよいよ加速し、収穫期を迎えようとしている。日本一面積の小さい舟橋村の会社が踏み出す一歩、誰もが抱える悩みや課題に立ち向かう、富山県の典型的な製造業メーカーの挑戦を紹介したい。

女性パワーがより活かせる会社を目指して

 ファインネクス株式会社では、10年以上前から1時間単位の有休制度を導入し、8年前の社長交代以降、イクボス宣言、健康経営優良法人、地域未来牽引企業、富山県SDGs宣言、「自己申告制度」の導入、週1回のノー残業デー設定などの施策を進め、離職率も顕著に低下させてきた。

 現在、経営層の変革推進をベースに、各部署より合計5名のメンバーを選び、月に1回女性活躍推進委員会を開いている。準備段階として、2023年春の社長へのプレゼンでは、「女性パワーが活かせる会社づくりにむけて」と題し、①女性社員の能力開発 ②上層部の意識改革 ③コミュニケーションの3本柱で提案を行った。その実現・拡大に向けて、研修セミナーの企画運営、女性社員の交流を深める「女性社員交流会」等、女性社員起案の取組みを協力して進めている。

外部の視点を入れた県の支援事業を積極活用

自社内で議論を進めるだけでなく、外部の視点を活用する取組みにも積極的だ。富山県が外部人材活用を掲げる企業と従業員のウェルビーイング創出事業や女性活躍専門コンサルタント派遣事業も上手に活用し、限られた予算でリソース活用を図っている。女性活躍を進めるには、トップダウンで経営層が方向性を示すことも必要だが、現場の女性たちの前向きな姿勢も欠かせない。ともすれば「自信がない」「自分なんて・・」となりがちな一人ひとりに自己肯定感を育むワークショップ型研修や、女性活躍の施策を検討し推進する取組みの伴走コンサルティング、健康経営のためのセミナー開催など、多様なプログラムでアプローチしている。

女性が本音を言える職場づくり

社長プレゼンに向けた打ち合わせでは、「会社が良くなる」ことを心から願う、真面目で厳しい意見も見られた。「女性活躍ってそもそもなんだろう?」「目指したい管理職って?」「コミュニケーションが足りていない」と本音で語り合い、まずは一緒に働く仲間がどう感じているのかを知るところからと、アンケートも実施した。女性社員へのアンケートの回収率は100%で、この数字からも女性活躍に向けての関心の高さが伺えた。

社長への提案には、その結果を基に、給与アップにつながる「サブリーダー手当の支給」や「自らのスキルアップを図るための応援」などが盛り込まれた。率直に意見を言える職場、それを受け止め励ます上司の包容力が噛み合い、変革の原動力になっている。

「会社を良くしたい」仲間への熱い思いと笑顔が変革の原動力

ファインネクス株式会社とのご縁は3年にわたる。終始感じるのは、担当者の前向きな姿勢と仲間への熱い思い、笑顔のやり取りだ。まだ育成しきれていない秘めたパワーが開花するとき、大きなムーブメントになることを期待させる。「控えめな富山県民」がその殻を徐々に破り、成長する姿が頼もしい。製造業現場での適材適所、現場でのコミュニケーション不足など、どこでも抱える課題を徐々に克服する未来は遠くない。上司のバックアップと現場力のタッグが成果を生む好事例と感じている。

コンサルタント:永合由美子

ファインネクス株式会社

  • 従業員数375名、平均年齢39歳、平均勤続年数13年、管理者数35人
  • 〒930-0281 中新川郡舟橋村舟橋415
  • 設立:1969年3月1日
  • 事業内容:電子部品の製造
  • https://www.finecs.co.jp/index.html