煌めく女性リーダー塾

異業種で積み重ねてきたキャリアをとみしんで活かす意欲的な取組み

#キーワード

女性管理職育成 経営層研修 女性管理職 ジョブ型雇用

富山信用金庫

(受講者)総務部 人事担当 副調査役 牛島 絵夢さん(マスターコース1期生)

(メンター)常務理事 梅川 雅之さん

キャリアはあっても、ここでは新人。あえて、まっさらな状態で臨んだ。

令和4年に120周年を迎えた富山信用金庫。職員の約半数は女性という職場だが、現在は店舗長以上の女性管理職は存在していない。この現状について「旧態依然とした雇用形態が一部に残っているのは否めないが、女性の活躍なくして今後の金庫の発展・存続はない」と梅川常務理事。120周年を機に、女性管理職の育成に力を注いでいくという。

総務部人事担当の牛島さんは、異業種から転職して4年目。実は、同金庫が新人職員研修で企業訪問した際、訪問先の人事担当だった牛島さんの応対ぶりを見た役員がスカウトし、ジョブ型雇用で採用した人材だ。

「まったくの畑違いだった私に金融業界という新たなステージを与えてくれた富山信用金庫には感謝と全職種に対してリスペクトを抱いている。金庫の発展に少しでも貢献できるよう、スキルを高めたい」と語る牛島さん。梅川常務理事は「スキルを学ぶことも大事だが、県内金融機関や異業種企業の女性たちとの意見交換など交流を通して、自分の糧になるものを見つけてきてほしい」とマスターコース受講を薦めた。

「社会人としてのキャリアはあっても金庫では新人にすぎない」という牛島さん。マスターコースの実践的な講義から多くを学び取ることを目的に受講を決めた。受講してみると、講義はもちろん、他の受講者の考え方や発言に触れ、また異業種の女性リーダーとの交流を通して、自身のスキルアップにも拍車がかかった。

名前を呼んで言葉をかける。声かけ一つでも、変化は起こせる。

印象に残ったのは、『課題設定力』の講義。ロジカルシンキング・ラテラルシンキングという二つの思考法を修得するものだ。女性が男性と対等に話すには、ロジカルシンキングが重要……これは常に考えていることだったが、牛島さんは「実際は感情的な思考に流される時もある」と自身を振り返る。「ただ、それは『対女性』の場合であり、会議の場や男性が多い場ではロジカルに進めるよう心がけている」という。例えば、意見が食い違っても反対とは捉えず、一つの考え方だと受け止める。また、その時に答えが出なくても相手の立場で考え、どうしたらロジカルに説明できるか自分なりに組み立て直すなど、講義で学んだことを日々の活動に取り入れている。「どれも頭では理解していたが、さらに強く後押ししてもらった」と感じているそうだ。

『巻き込み力』についても同様で、仕事には周りの力が不可欠で、年齢、性別、役職等は関係なくコミュニケーションの活性化を図ることが大切。それぞれの能力をフルに発揮して、金庫が一つのチームとなり結束力を高め、富山信用金庫のブランド力を強みとして、地元密着型の金融機関の存在意義を発信し続けていかなければならない。

梅川常務理事が感じている変化は、職場が明るくなったこと。牛島さんは毎朝、職員一人ひとりに「○○さん、おはよう」と必ず名前を呼んで言葉をかける。些細なことに思えるが、職場環境も和やかになったのも『声かけ効果』の表れだ。

パッションを持ってチームをリードし、とみしんの成長を手助けしたい。

牛島さんが自身に課したミッションは、少しでも個々のレベルを上げ、組織力の向上に貢献すること。30歳ぐらいまでは目指すべきリーダー像を思い描いていたが、転職し、キャリアを積み重ねていくと、具体的なイメージを持つことが難しくなってきた。「理想と現実のギャップを埋めるのは自分自身。私が成長するしかない」と牛島さん。課題は次々に現れるがネガティブにはとらえず、「立場が変わると仕事の新しい魅力も見えてくるので、チャレンジを続けたい」とポジティブに仕事と向き合っている。仕事が楽しいというパッションを原動力に「働き方を含めた新たな発想で、とみしんの成長に少しでも役立てる存在になりたい」という牛島さんの今後に期待したい。

5年後、どうなっているかが楽しみ。

当金庫で能力を発揮してほしいと声をかけた時点では、総務部人事担当として採用と研修の担当を想定していたが、一緒に働く中で引き出しの多さを感じ、期待度は高まってきた。最近では、人脈づくりの一環として得意先訪問にも同行してもらっている。持ち前の明るさは企業経営者にも好印象で、こちらも嬉しく思う。課題もあると本人は言っているが、一緒に一つずつクリアしていくことで、当金庫にも良い変化が期待できる。大切に育てていかなければと改めて思った。現状のスキルに限らず、優しさ、厳しさを兼ね備えた彼女には、さらに上を目指してほしい。5年後、どんな存在になっているのか、楽しみにしている。

常務理事 梅川 雅之さん

富山信用金庫

  • 職員数243名、平均年齢41歳、平均勤続年数19年、管理者数48名
  • 設立:1902年4月7日
  • 事業内容:金融サービス
  • https://www.shinkin.co.jp/tomishin/