取組事例紹介

「人を育てる」イクボス宣言で加速するワークライフバランスの実現

#キーワード

イクボス宣言 ワークライフバランス 男性の育児休暇/休業の取得 キャリアアッププログラム

株式会社富山第一銀行

2017年7月にイクボス宣言を行い、2021年4月には新頭取が改めて「人を育てる」イクボス宣言をして、男性の「育児休業」(無給)取得率が向上している。2020年度は20名の対象男性のうち、25%となる5名が取得。「育児休暇」(有給)に至っては、2016年度から2020年度まで述べ138名が取得し取得率100%を継続中。仕事と家庭の両立やワークライフバランスに考慮し、テレワーク、シフト勤務を導入し、フレッシュデー(定時退行日)、フレッシュウィーク(定時退行週間)を設け、所定外労働時間の削減を促進している。具体的には開始当初(2015年度)の一人当たり月15時間26分から、2020年度は4時間44分と大幅に減少。また、コース別人事管理制度を導入し、転居を伴う異動に配慮したライフサイクルに沿った働き方の選択が可能とするなど、仕事と家庭の両立に向け積極的に取組みを続けている。

育休取得とフォロー体制で、社員のモチベーションと企業イメージアップ

男女ともに育休を取得しやすくするため、妊娠4ヵ月経過後に「出産予定日の届出」(男性は妻の出産予定日の1か月前まで)を所属長経由で人事企画部に提出することとし、出産前に休暇申請を確認・フォローする体制を整えた。産休・育休の女性たちには、コミュニティーとして「キラリMama’sクラブ」を発足。検定や研修、セミナー等の情報を発信し、スムーズな復職に向けて面談を実施するなど手厚いフォロー体制を整えた。こうした取り組みが効果を上げ、「プラチナくるみん」の認定に繋がった。

さらに両立支援ハンドブックを作成し、自主的に申請しやすい環境を整備。また、WEBによる産休前・復職前研修の実施、iPadの貸出など、認定後も取り組みを継続・強化することで、社員の中に「ワークライフバランスへの取り組みは、会社の価値を高める」という意識が広がり、新たなモチベーションとなっている。採用面においても働きやすく、働き甲斐のある企業としてイメージアップにつながっている。

お客様にも応援された、育児休業取得の男性セールスパーソン

実際に2021年10月から2ヵ月の育児休業を取得したK・Yさんは、取得前は周囲に負担をかける後ろめたい気持ちがぬぐえなかった。父親からは「出世をあきらめるのか?」とも言われたが、職場の同僚は「仕事のことは自分たちに任せろ」と背中を押してくれた。支店長は「彼のキャリアのためになるはずだ」と自ら育休について学び、職場の環境整備や復職をスムーズにする方策など、人事と連携し真剣に相談にのってくれた。今は「育休を取得して時間の使い方に対する意識が高まった。出産前後の女性の大変さも理解できた。この経験を仕事に活かしていきたい。取得して本当に良かった」と笑顔で話す。支店長は、「お客様や地域の方々から、育休を推進する店舗の姿勢に共感をいただき、店全体のモチベーションアップに繋がった」と人事に伝えたという。

男女ともに全職員が活躍できる、「人を育てる」取り組み課題

2016年に女性に向けたキャリアアッププログラムを導入して以降、参加メンバー57名のうち13名が女性管理職として登用され、支店長代理にも2名登用されている。現在は入社2~3年目の行員にキャリアデザイン研修を行っているが、2022年2月からは30代にも実施 し、自らのキャリアを主体的に考え能力を発揮し、経済・地域社会に貢献する「人を育てる」施策を拡大する。並行して、年間約12回、銀行の休日である土曜日に「土休オープンセミナー」をWEBで開催。業務に関するテーマはもちろん、2021年度にはヘルスリテラシー向上など業務以外のテーマでも開催している。社会情勢や環境の変化にともない働く人に求められるスキルは常に変化しおり、今後は階層ごとにどのように展開していくかが大きな課題だ。

「人を育てる」イクボスが企業価値をアップ

実際に育児休業を取得し、復職直前のK・Yさんの輝く笑顔が印象的だった。また復職を受け入れた支店長の「お客様をはじめ、地域の方も男性の育休取得を応援して下さり、店の雰囲気が良くなった」との感想に筆者は非常に感動した。「人を育てる」イクボスが存在すれば、男性の育休取得は可能になり、企業のブランドイメージが向上する好例だ。

コンサルタント:藤村優香理

株式会社富山第一銀行

  • 従業員数679名、平均年齢39歳3か月、平均勤続年数16年5カ月、管理者数166名
  • 〒930-0062 富山市西町5番1号
  • 設立:1944年10月1日
  • 事業内容:金融機関
  • https://www.first-bank.co.jp/outline/