取組事例紹介

公共交通を担う人材の確保に向けた快適で働きやすい職場環境づくり

#キーワード

女性活躍応援 働きやすい環境

富山地方鉄道株式会社

 鉄軌道・バスの運輸事業を中心に、地域密着で多角的に事業展開する富山地方鉄道。近年はバス運転手をはじめとする人材確保が喫緊の課題で、ハード・ソフトの両面から労働環境の改善や業界のイメージアップに取り組んでいます。それらの取組みの一つである、富山自動車営業所の休憩室リニューアルや、多様な人材の働き方を支える制度などについて、富山自動車営業所所長の上口さんと本社総務部人事課次長の中田さんに伺いました。

女性のための快適な休憩室の整備

 公共交通を担う当社は、安全輸送を使命としており、安全な運行業務を遂行するためには、社員一人ひとりが心身ともに健康を保つことはもちろんのことですが、社員にとって快適で過ごしやすい職場環境づくりや、柔軟に働きやすい制度設計が大変重要となります。

 こうした状況の中、当社のバス事業の中核を担う富山自動車営業所では、バス運転手が不足する中、営業所の建物が築30年以上経過していたこともあり、人材確保と働きやすい職場づくりを目的に、営業所内の休憩所を2026年4月にリニューアルしました。

 特に、女性運転手の確保・定着のためには、女性にとって働きやすい環境づくりが重要であり、女性専用の休憩室内には、仮眠や着替えの際にもプライバシーを確保できるように、ベッドが備わった鍵付きの個室を新たに4室設けました。共有スペースでは、ロッカーや浴室のほか、ミニキッチンも整備され、自由に食事をとることもできます。現在在籍している女性運転手からは、「互いに気を使わず、快適に過ごせる」と好評です。

 また、男性用の休憩室も機能を拡充しています。仮眠スペースはベッドをカーテンで仕切り、落ち着いて休める空間です。

 男女共有の休憩スペースはあえて廊下を設けず、入口付近で社員が自然に顔を合わせられる動線とし、丸みを基調にした設計で交流を促す工夫を取り入れています。長テーブルには仕切りを設け、個人で落ち着いて過ごせる席やマッサージチェア、ロッカーも新設しました。

 リニューアル後の休憩室の様子は、採用説明会や当社のSNSなどでも紹介しており、職場の魅力発信や人材確保へつなげていきたいと考えています。また、今回のリニューアルを受けて他の職場でも職場環境改善を希望する声が上がっており、引き続き改善に取り組んでいきたいと考えています。


乗務員の働き方に寄り添った制度設計

ハード面だけでなく、ライフステージに合わせて柔軟に働けるソフト面の拡充にも力を入れています。

育児・介護との両立支援については、女性社員の育児休業取得率は100%で、2026年7月現在、女性2人、男性1人が取得中です。育児短時間勤務は子どもが小学校就学時期まで(会社が認めた場合は延長可能)1日2時間の短縮が可能で、6人が利用しています。市内電車の女性運転士が育児休業から復帰する際には、短時間勤務に合わせたシフトを新たに作成し、夜間勤務や長時間労働にならない勤務体制を整えています。

「働きやすい職場認証制度」二つ星を取得

 当社では、バス等の自動車運送事業において、労働環境等に関する一定の基準を満たした事業者を認証する「働きやすい職場認証制度」(国土交通省)の二つ星を取得しました。女性専用休憩室の設置や仕事と育児・介護の両立に役立つ各種制度の整備など、社員が安心して働ける環境づくりが評価されたものと認識しています。今後は要件をさらに満たし、三つ星認証を目指します。

今後の課題

 今後も深刻な人手不足が続く中、喫緊の人材確保だけでなく、将来の担い手確保にも取り組んでいきたいと考えています。その一環として、自動車部門では2年前からバス営業所の見学会を開催しているほか、鉄軌道部門では今年度から学生向けに学習支援を目的とした労働法学習会・車両運転体験会を開催しており、若い世代に仕事の魅力を体感してもらう機会を提供しています。また、イベントでの車両展示、「はたらくくるま」イベントへの参加や幼稚園・保育園でのバス乗り方教室などを通じ、子どもの頃から公共交通や運転手の仕事に親しんでもらう取組みも進めています。

今後も現場の声を生かしながら、ハードとソフト両面の取組みを充実させ、安心して長く働ける職場づくりを進め、地域交通を支える人材の確保・育成に取り組みます。

富山地方鉄道株式会社

  • 従業員数 455名 ※うち富山自動車営業所は127名
  • 〒930-0003 富山市桜町1丁目1番36号(本社)
  • 設立:1930年2月11日
  • 事業内容:鉄道、軌道、乗合、貸切自動車による運輸業、レジャー、不動産事業、旅行業等の付帯事業
  • https://www.chitetsu.co.jp/