取組事例紹介

働きやすい職場環境に向けた短時間正社員制度等の導入

#キーワード

女性活躍応援 短時間正社員制度 フレックスタイム制度

とやま駅前みわ矯正歯科医院

開院101年、矯正歯科37年の歴史を持つ、とやま駅前みわ矯正歯科医院。歯科医療の質向上に加えて、女性活躍や働き方改革に積極的に取り組んでいます。2021年に「えるぼし」、2022年に「富山県男女共同参画推進事業所」に認定。2023年には、歯科医院として県内初の「とやま女性活躍企業」に認定されました。短時間正社員制度やユニークな休暇制度を導入した思いなどを、角谷院長にお話を伺いました。

女性が長く働け、活躍し続けられる制度

当院は矯正、歯並び、噛み合わせなどの治療をする矯正専門の歯科医院です。診療理念にある「私たちは、あなたと共に変化に挑み、笑顔あふれる未来を創造します」を掲げ、歯科治療を通して患者さんの笑顔を創るとともに、働き方の変革に挑みながら、人としての成長を通して、働く人の笑顔を創ることを目指しています。誰もが働きやすく、輝ける職場環境をつくり、女性スタッフが多い職場だからこそ、女性のライフステージにあった多様な働き方や、ワークライフバランスを考慮した柔軟な制度を充実させています。

短時間正社員制度とフレックス制度の導入

当院ではワークライフバランスの視点から、短時間正社員制度とフレックスタイム制度を2021年10月に導入しました。歯科業界では人材不足、特に歯科衛生士の不足は深刻で、出産・育児、結婚を理由とする退職が多く、復職もなかなか進まない現状です。当院では人材確保に加え、女性の働き方支援を目的に短時間正社員制度を導入し、これまでに3人が利用しています。子育てを理由に、フルタイム正社員から短時間正社員を経てパートになる方や、その逆の方もいます。

フレックスタイム制度は、矯正歯科という治療の特性上、子供の患者さんが多く、夕方や土曜日、長期休業期間中に人員を確保するために、当初、コアタイムを定めていました。しかし、現在では、働く女性をとりまく環境や価値観の多様化を踏まえ、取得の実情や希望を優先するためにコアタイムは廃止しています。コアタイムの廃止による人員不足に対しては、増員を行うことで対応しています。個別の実情に対応することは、5年~10年後の未来に向けた人的投資であると考えています。

ライフサポート制度で不妊治療も応援

ライフサポート制度は不妊治療の通院に限らず、体調不良の際、男女問わず、休暇(無給)が取得でき、これまでに1人が利用しました。不妊治療は人によって異なり、期間も見通しも違うので制度設計に悩みましたが、職場からの応援のメッセージも込めて制度を設けました。不妊治療や病気で通院することや自分の体の調子と向き合う経験は、患者さんに対する気持ちの変化や、職業人としての人格形成にとって良い機会にもなります。

エフ休暇は生理や月経前症候群(PMS)、更年期による体調不良の際、休暇を取れる制度です。自己申告制で日数に制限はありません。これまでに取得実績はありませんが、制度を整えることでさまざまな悩みを相談できる職場だという認識につながればと願っています。

働き方改革の究極の目的は「患者さんにベストを」

働き方改革を進める上で、生産性を向上させるために工夫していることが2つあります。

1つはワークフローの見直しです。お互いの業務を共有し、カバーできるようにしています。具体的には仕事の段取りの見直し、属人化を排除するためのマニュアル化と標準化、勤怠管理ソフトウェアの導入です。

もう1つは、時間外労働の削減です。当院には専門職の歯科技工士が2人いますが、仕事の特性で残業が多くなりがちです。そこで納期を患者さんと相談して決めるのではなく、技工士の段取りで組み立ててもらい、給与体系も成果給を取り入れました。当院の働き方改革の根底には「ベストを患者さんに提供する医療だから妥協は許されない、質が落ちることはしたくない」という思いがあります。

社会貢献や女性活躍に積極的に取り組む/コミュニケーションで制度のニーズを拾う

独自制度には、社会貢献活動休暇(無給)と特別社会貢献活動休暇(有給)があります。私は事件・事故・災害で身元確認をする法歯学協力医をしています。スタッフにも専門知識・技術を活かしたボランティアや、身近な地域社会に貢献する経験をしてほしいと思っています。また、優れた社会貢献活動に関する発表をしたスタッフには、院内でサスティナビリティ賞を贈っており、受賞者は有給で社会貢献活動休暇を取得できます。

女性活躍では2018年2月から「えるぼし」認定の取得に取り組み、2021年に認定されました。現在は育休取得率100%・復帰率100%で、子育てと仕事が両立しやすい、安心して長く働ける制度・環境づくりの効果が表れています。このような取組みを求人で紹介したり、ハローワークの求人票に歯科業界では珍しい「えるぼし」認定マークがついたりすることで、採用の強みになっています。

歯科医院は小規模なところが多いですが、だからこそ小回りの効く制度設計や福利厚生にきめ細かく対応しています。実際の運用では、制度設計においてさまざまな問題が生じます。そのため、日頃からのスタッフとの会話や何気ないコミュニケーションなどを通して、仕事以外のことも話しやすい関係性をつくりながら、お互いの状況を理解することで、本当に必要なニーズを拾います。

また、県の女性活躍企業の交流会などの機会やパンフレットなどで、「うちの場合はこの制度をどう取り入れようか」と、他企業の事例を参考にしています。今後も現状の制度を運用しながら、時代にフィットしたものに変化させていきます。

とやま駅前みわ矯正歯科医院

  • 従業員数 13名
  • 〒930-0008 富山市神通本町1丁目7-8
  • 設立:2021年10月(矯正歯科医院としては1987年2月)
  • 事業内容:矯正歯科治療、指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)、顎口腔機能診断施設
  • https://miwa-orthodontic.com