取組事例紹介

男性の育児参加を後押しする

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育休や育児短時間勤務への支援と協調 ハンドブックで「見える化」 業務体制の調整と人材の確保 多様な働き方の推進

新日本海重工業株式会社

造船で培った溶接技術を活かし、プラントやセメント製造、産業廃棄物焼却設備などの産業機械の設計から現場への据付までを行っている新日本海重工業株式会社。経営計画の事項に男性育休等の多様な働き方を推進することを盛り込み、会社全体で働き方改革に取り組まれておられます。今回は補助金を活用した「男性の育児休業」と「育児短時間勤務」について、事務総括部の方々と育児のため育児短時間勤務を取得された副主任の後藤さんにお話を伺いました。

●育休や育児短時間勤務への支援と協調

近年の男性の育児参加の機運の高まりを受け、従業員の働きやすい職場環境の構築と、人材の定着を目的として育児参加を後押しすることに決めました。社内の経営計画に男性の育休取得推進の事項を盛り込み、SDGsの取組みとしても宣言を掲げました。これにより、ベテラン従業員と若者世代との育児に対する意識のギャップの解消が進みました。 

とりわけ、育休の対象となる男性従業員においては、パートナーのストレス緩和の為にも取得するように上司から推進することで育休の重要性を認識することとなりました。 

弊社では、育児休業や介護休業、傷病休業の際に、38日(約2ヶ月の勤務日数)まで賞与の算定対象とする制度が従来からありました。今回、この制度を従業員に広く周知することで、育児休業取得の呼びかけを行っています。 

また、子どもが就学するまでの育児短時間勤務については、遠距離通勤をしている従業員から、法令が定める6時間では勤務するのが難しいとの要望があり、法定を上回る1日5時間の育児短時間勤務まで行えるように改善しました。この結果、育児短時間勤務の積極的な取得についても、職場での支援体制も含めた協調機運の高まりが見受けられるようになりました。 

このように、多様な働き方に柔軟に対応し、出産・育児と仕事を両立しやすい環境を目指しています。

●ハンドブックで「見える化」

これらの決定事項は、2021年に会社全体で業務の「見える化」に取り組む中で、総務グループとして「福利厚生ハンドブック」を作成し、就業規則のみでの運用から一歩進めた形にしました。また、育休期間に支給される手当の金額や、社会保険料や税金、有給休暇などについて説明した「お子さんができる従業員へ」という冊子を電子ファイル化し、従業員が閲覧できるようにしています。 

さらに、出産を控えている従業員には、時間を設けて個別に対応し説明をしています。 

●業務体制の調整と人材の確保

2022年に現場の作業スタッフが、2ヶ月間の育児休業を取得しました。その際には、工場内の配員や協力会社への出勤依頼にて労働人員の調整を行い、育児休業された方の作業分も対応できるよう工場の稼働を計画しました。 

そういった状況での、業務体制の調整は比較的容易でしたが、生産管理など部署によっては代替ができず、育休の取得が難しいところもあり、課題のひとつとなっています。 

2020年4月から比較して2024年4月には新入社員も含め、9%程度従業員が増える見込みとなっています。人材の投入により個人の業務量を減らす取組みは行っていますが、まだまだ育休期間中の人員の対応には苦労する状況にあります。 

そのために、職場内での職務の割振りの再構築、話し合いによる事前の業務の引継ぎ、そして協力会社さんとの連携で労働人員を調整し、カバーしています。

●仕事と育児の両立を支援

副主任の後藤さんは一昨年に約3ヶ月間、育児短時間勤務を取得されました(以下は後藤さんの体験談)。

「製品の生産管理・生産技術を担当する部署では、製品の納期前などは業務も多忙になり、残業時間も多くなるのが現状です。職場の業務量の負担などを考え上司に相談しました。育児と仕事の両立を考えた結果、勤務時間を6時間にする育児短時間勤務を選択しました。」 

「育児短時間勤務中は、事前に書面等で引き継ぎ内容を明確にすることで業務量が増えないように業務内容を振り分けてもらい、職場の皆さんの支援によって負担を減らしてもらえました。」 

「取得する当初は、申し訳ない気持ちがありましたが、多方面からの協力が得られ、社内の育児参加に対する理解を感じました。妻からも『あなたが家にいてくれるだけでも助かるわ』と言ってもらえました。」 

「育児短時間勤務ではありましたが、業務負担を軽減してもらうことで時間的余裕ができ、子どもの夜泣きなど育児による体力的負担が減り、業務を負担してもらった上司や同僚には感謝の気持ちを持つことができ、取得してよかったと感じました。

●多様な働き方を推進

育休などを取得した従業員にはアンケートを実施しています。次に育休を取得する方の参考となることと、会社として育休取得を推進していることをアピールするために行っています。少しでも育休を取得しやすい雰囲気になればと思い、取り組んでいます。事例は電子ファイルにし、従業員が閲覧できるようにしています。

このような取組みの結果、育休や育児短時間勤務、年次有給休暇の取得など、生活状況に合わせた業務の調整の要望など、言い出しやすい雰囲気になってきたと思います。昨年も男性現業スタッフによる育児休業の取得があり、職場の上司の理解や、関

連部署など会社全体の協力体制によって今後の育休取得促進につながっていくと思っています。

また、今までは「子の看護休暇」「介護休暇」は無給との扱いとなっていたのですが、2024年4月1日からは、年次有給休暇を消化した方は有給とすることになりました。現在は、申請方法など細かい取決めを検討中ですが、活用しやすい形にしていきたいと思っています。今後も従業員の声を聴き、育児などに参加しやすく、多様な働き方ができる環境を整えていきたいと思います。


新日本海重工業株式会社

  • 従業員数 106名(2024年2月1日現在)
  • 〒931-8335 富山市西宮町1-1
  • 設立:1978年
  • 事業内容:化学工業用、鉱山用、土木建設用他、装置の製作、据付並びに修理
  • https://snhi.co.jp/