取組事例紹介

勤務間インターバル制度を導入した働き方改革

#キーワード

勤務間インターバル制度 健康を維持した働き方 働き方の意識改革につながる 若手従業員のモチベーション向上 離職防止

北陸コンピュータ・サービス株式会社

 地元北陸に根ざしたICTのプロフェッショナル企業として、コンサルティングからシステム開発・運用まで、情報インフラ整備に努めておられる北陸コンピュータ・サービス株式会社。勤務終了時刻から翌日の勤務開始時刻までの間に一定以上の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」を早くから導入されてきました。人事部の村野マネージャーと飯田リーダーにお話を伺いました。

●働き方の将来を考えて導入

 ICT企業としてトータルにサービスを提供するうえで、必然的にマンパワーが必要となり、長時間労働となることが課題としてありました。

 そんな中、2016年当時の弊社社長が異業種間による会議・セミナー等を通じて働き方に関する情報収集を行い、近い将来、法改正が成されるのではないかとの思いから、「勤務間インターバル制度」の導入の提案がありました。従業員の健康を考えての取組みとして、当時県内でも事例が少ない中、人事担当部門が具現化し、2017年4月より就業規則を改訂、勤務間インターバル制度を導入しました。

●健康を維持した働き方

 弊社の所定勤務時間は8:45から17:30です。しかし、システムエンジニア(SE)の仕事には夜間のメンテナンス等が含まれる場合もあるため、「勤務間インターバル制度」があります。インターバル(休息時間)を設けることで、睡眠時間の確保やモチベーションのアップひいて生活の質の向上につながると考えます。

 正規雇用・非正規雇用・職種等を問わず、インターバル時間は一律10時間です。制度を利用するには、上司に事前申告が必要であり、Web上で勤怠管理されます。

 勤務終了時刻が22:45から翌2:00までの場合は、翌日の始業時刻より、22:45以降の勤務時間に応じて勤務が免除されます。〔例〕23:00終業の場合は始業開始が15分免除され、翌日は9:00より始業

 また、勤務終了時刻が2:00から3:00までの場合は翌日午前中の勤務を免除し、勤務開始時間は13:30となります。勤務終了時刻が3:00以降の場合は翌日を休務とし、代休扱いとしています。

 インターバル制度があることにより、労働時間の把握や管理職のマネジメント意識向上、業務を時間内に終わらせようという意識も強化されています。

●勤務間インターバル制度導入は、働き方の意識改革につながる

 SEの仕事は深夜に及ぶことも多く、若い世代から嫌われる面でもありました。残業もやむを得ない業種という意識が従業員にもあったと思います。そのような中で、制度を導入した当初は、インターバル確保に向けた工夫やサポートも大変でしたが、どうすればうまく仕事がまわるようになるか、社員全員が今までよりも考えるようになったと思います。

 例えば、SEの仕事には、日中に客先で対応した業務を夜間に確認・メンテナンスするといった業務を行う場合もあり、インターバル時間が所定勤務開始時刻を超える可能性が常にあるため、業務が一人に偏らないよう複数体制にしたり、一つの業務に日中担当・夜間担当と分けてシフトを組んだりといったことを行いました。

 この結果、従業員の間での情報連携が活発になり、さらには属人化の解消が必要だということで、各部署でマニュアル化を進めるという努力や工夫が生まれるようになりました。また、営業担当と製造担当(SE)が双方でコミュニケーションを取り、スケジューリングや業務の調整等を協力して行うようにもなりました。さらには、コロナ禍で浸透したWEB会議ツールの活用で時間や場所にとらわれない働き方の見直しに向けた取組みを行っています。

●健康経営に大きな役割を果たす

 このような工夫を重ねた結果、従業員自身が働き方における効率化働きやすい環境をより意識して業務を行えるよう、全社一丸となって取り組む風土が浸透してきていると感じています。勤務間インターバル制度の導入が契機となり、働き方への意識改革、残業の抑止につながったことで、従業員からも、会社が積極的に従業員のワークライフバランスと健康への意識を高める取組みを行ったという評価の声を聞いています。実際、時間外勤務も勤務間インターバル制度の利用もどちらも減少傾向にあるうえ、入社3年目までの離職率も明らかに減少しています。

 時間外勤務の削減だけでなく、賃金アップ、健康管理に特化した福利厚生の充実など、様々な面で労働環境の改善や制度の見直しを行っていますが、中でも勤務間インターバル制度は、若手従業員のモチベーション向上、離職低下につながった要因の一つと考えています。

 余談ですが、2023年9月よりカジュアルな服装での勤務を可能としました。人事部の若手従業員でミーティングを行う中で、服装のカジュアル化は、リラックスできる服装で就業することによる個々の生産性の向上や、採用活動にも有利との意見が挙がり 、彼らが主体となりプレゼン等を行い、数ヶ月での実現となりました。

 こういった柔軟な対応も、勤務間インターバル導入を契機に変わってきた風土から生まれたと思いますが、県が推進するウェルビーイングの向上にも繋がるのではないでしょうか。  

北陸コンピュータ・サービス株式会社

  • 北陸コンピュータ・サービス株式会社
  • 〒939-2707 富山市婦中町島本郷47-4
  • 設立:1967年
  • 事業内容:情報サービス業
  • https://www.hcs.co.jp/