取組事例紹介

男性の育児休業取得浸透へ向けての取組み

#キーワード

高い有休取得率 男性育休の浸透 助け合い意識の醸成 工場部門の取組み

東亜薬品株式会社

 戦後、配置家庭薬メーカーとして再出発した医薬品製造会社であり、医薬品づくりを通して貢献されている東亜薬品株式会社。女性の活躍推進や男性の育児休業取得など働き方改革を推進され、社員が性別や年齢に関わらず活躍できる場を提供されておられます。今回は「男性の育児休業」に重点を置いて総務部の方々にお話を伺いました。

●高い有給休暇取得率から男性育休の浸透

弊社は誕生日休暇などもあり、有給休暇取得率も76%と高く、休暇を取得しやすい職場環境にあります。また、時間単位の休暇制度もあり、育児短時間勤務も子供が3歳になるまでだった制度を小学校入学前までに広げました。

育児休業に関しては、制度としてあるにもかかわらず、男性も取得できるという理解が進んでいませんでした。また、男性の中にはそもそも制度を知らない人や、あえて取らない・取りにくいという風潮がありました。そんな中、2021年(令和3年)に改正育児介護休業法が成立し、社会全体として注目されてきたことから、企業側の義務として男性の取得を促進していこうと、直接面談による意向確認を始めました。社員に「出産予定届/配偶者出産予定届」を出産予定日の2ヶ月前までに申請するよう周知し、男性対象者は出産予定日の2ヶ月前、女性は産前休暇の1カ月前に、総務部の担当者と個別に面談の機会(1人あたり20分程度)を設け、育休制度のメリットやデメリット、県の補助金についての説明を行います。

社員がPC上で閲覧できるお知らせや回覧板での案内等でも社内に広く紹介することで、男性の育休は徐々に浸透していきました。

●助け合い意識の醸成

有給休暇の取得率が高いこともあり、誰かが急に休んでも対応できる職場環境が醸成されています。

男性の育休取得は、研究開発部門等の間接業務従事者から始まりました。この部門はチーム単位で業務を行っているためメンバー間でフォローし合え、また自身でも業務を調整できるため取得しやすい環境にあります。しかし、工場の直接業務部門の従事者は業務量が多く、製造ライン上での業務など自身で仕事をコントロールできないため、取得は難しい環境にあり、当初は部門間で育休取得にばらつきがありました。

そのため、男性の育休取得が遅れていた工場部門では、業務の属人化を防ぐため多能工化を推進し、複数工程の習得や部署間の異動などを積極的に行っています。生産部門の会議でも取得に向けた説明を行い、工場部門全体で協力体制を整えています。また、会社全体のバランスや公平性の観点から、管理職には取得の申出があった場合は受け入れに配慮するよう会社として要請もしました。

●一緒に育児に取り組む「共感の時間」

男性の育休の取りづらさは、企業側の義務として取得を促進することにより、工場の直接業務部門でも取得しやすい環境となりました。社員が権利の主張と行使をしやすくするためには、管理職にも組織や仕事のマトリックス(構造)分析・仕事のコントロール(作業分担・日程など)が重要な職務であるとの認識が生まれ、今や取得が当たり前のようになっています。

 子の成長が目まぐるしい時期を近くで見守れる時間は貴重だと思います。子育ての心細さや女性側に偏りがちな育児や家事の負担を夫婦で分かち合い、子育ての大切さと喜びを共有することは、今後の家庭生活になくてはならない「共感の時間」をつくり出せるのではないかと思います。

●男性の育休取得期間の長期化 人材の確保 事業の継続

育休制度は分割して最大4回まで取得できますが、実際に育休を取得した男性社員の感想として「もっと長い期間取得したかった」という要望もありました。今後は対象者一人ひとりと更に向き合い、当事者の意見を尊重しながら、取得日数の増加にも取り組んでいきたいと思います。

 今後も続くであろう人手不足・少子高齢化への対応の中で、男性育休の充実は、企業を選択する上で魅力ある会社として見られるでしょう。また、新たな技術革新への「人材の確保」「事業の継続」等に対する課題にも向き合い、ワーク・ライフ・バランスを大切にしながら、社員の活性化を図っていきたいと思います。


東亜薬品株式会社

  • 従業員:550名(2023年10月21日現在)
  • 〒939-3548 富山市三郷26
  • 設立:1940年
  • 事業内容:医薬品の開発及び製造
  • https://www.toayakuhin.co.jp/