取組事例紹介

働き方改革実践モデル企業事例3

#キーワード

「できる」「できない」の明確化 見える化 人材の早期育成 男性の育児休業取得

得能建設工業株式会社

南砺市を中心に安全・安心なまちづくりを目標に、土木・舗装・管工事など地域のインフラ工事を担っておられる得能建設工業株式会社。取組を牽引された吉田部長にお話を伺いました。

●休みが欲しい、給与アップを

働き方改革実践モデル企業には、以前より「働き方改革」の講習を受けており、県の担当者から「現場の社員を含め、全員で参加してみませんか」というお話もあったので、応募しました。当時、弊社の新入社員教育は“ほったらかし”でフォロー体制がなく、「気持ちよく働ける職場にする」とか「完全週休2日制の導入」などの働き方改革は、人手不足や工期厳守のため推し進めるにはほど遠い状態でした。その中でも「休日が欲しい」「給与のベースアップ」という社員の欲求に少しでも応える方策を探していました。

●若者には伝わらない「いいがにしとけよ」

モデル企業の取組みでは、自分たちの働き方の課題やありたい姿について考えました。その結果、業務効率の向上のため、誰もがどんな仕事でも60~70%できる人材の育成、スキルアップを図り「多能工化」を目標としました。そこで、各々の「できる」「できない」を明確化したところ、ベテランと若者間で作業内容の理解度に差があり、「いいがにしとけよ」では若者には伝わらず作業が捗らないこと、人によって作業方法が違うことも分かりました。このような“気づき”の積み重ねによって社員の信頼関係が構築され、社内の風通しがよくなりました。

●“見える化”と「カエル会議®」による改善の積み重ね

建設業は日によって作業内容が変化するため、人手の不均衡・段取りの悪さ等がありましたが、「職務分析表」「技能確認シート」の導入により“見える化”を促進することで、問題点の改善につながりました。誰もが作業を共有できるよう「マニュアルの作成」に取り組み、人材の早期育成にも努めています。「マニュアル作成」の取組みの中では、言語化が難しい作業は動画を作成するということにも挑戦しましたが、作業を詳しく掘り下げることで自分たち自身の勉強にもなりましたし、SNSで拡散したところ驚くほど再生回数が伸び、社内の雰囲気を知ってもらうツールとしても使えそうということがわかりました。

また、感謝の一言を伝える「感謝の掲示板」もコミュニケーションの向上につながっています。

毎週金曜日16:30から30分間の「カエル会議」では、小さな改善案が多く出るようになりました。その中で、作業車両を毎回清掃すること、また、作業車両の使用者名を用紙に記入するのではなく、今日誰が使用しているか一目で分かるように、ホワイトボードに張り出す「名札方式」を採用しました。

※「カエル会議」は株式会社ワーク・ライフバランスの登録商標です。 

 チームで目指す目標(ありたい姿)を設定し、その目標達成に向けた課題を抽出して、改善案を考える会議です。

●ベテランが変わった 男性社員が1か月の育児休業を取得

一連の取組により変わったことは、何よりもベテラン勢の若手に対する接し方だと思います。相手の立場になって物事を考え、作業の指示やアドバイスをする際も、相手に伝わるように気遣っていることが分かるようになりました。 

伝える力と聞く力が向上したことにより、作業効率を高め、効率的に作業を遂行するようにもなり、何事にも時間管理が上手くなりました。 

社内全体のコミュニケーションが増えたことで理解を得て、現場リーダーの男性社員が1か月の育児休業を取得できました。

●「誇り」と「働きがい」のある地元企業であることが人を惹きつける

地元に愛され、「誇り」と「働きがい」を感じてもらえる会社にすることが大切だと思います。よき人材を確保するためにも、今後も働き方改革に取組み、給与のベースアップにもつなげていきたいと思います。 

また、カエル会議を続けることにより、一人ではなくみんなで疑問や改善点を解決しながら、みんなが思う「会社のありたい姿」に近づくよう努力してまいります。

得能建設工業株式会社

  • 従業員数:19名
  • 〒939-1732 南砺市荒木1429
  • 設立:1929年
  • 事業内容:土木工事、舗装工事等
  • https://tokuno-kk.jp/