事例紹介
キーワード
女性活躍推進プロジェクト
経営層研修
社長直轄育成プログラム
出前講座活用
女性活躍推進の活動は、企業風土・文化変革の突破口
立山科学グループ
立山科学(株)代表取締役 水口社長は、富山県女性活躍推進戦略会議の委員長を務め、女性活躍推進を社会課題、企業の風土や文化を変革する突破口と考え、真剣に取り組む。富山県女性財団サンフォルテ出前講座も積極活用し、女性役職者とその上司がペアで参加したアンケートには、好意的・前向きの発言が目立つ。女性活躍推進プロジェクトは社外の刺激を通じた経営層のマインドセットからスタートし、今年4年目。さらなる飛躍を目指している。
女性活躍推進プロジェクトは、経営層の研修からスタート
2018年度に、さまざまな部署のメンバーで集まり女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、「男女ともに働きやすく就業継続でき、公平なチャンスと評価が与えられ、活躍できる雇用環境の整備を行う」を目標に活動をスタートした。
このプロジェクトをスタートした時に着目したのは、経営層だった。まず、社長を含む経営層が、半日×2回、外部講師を招いた女性活躍推進を理解するための研修・ワークショップに参加した。社外の刺激も活用したトップのマインドセットが、その後のスムーズなプロジェクト推進につながっている。研修のワークショップで経営層が掲げたビジョンは、「女性が誇りと責任ある仕事に取り組み、高い志と意欲を持って成長し、経営に参画してもらう」「一人ひとりが個性を発揮し、より多くの女性が活躍でき、やりがいのある組織となる」「個性を発揮し成長できる、生きがいのある人生を実現できる会社となる」などが挙げられ、女性活躍推進に対し積極的な意見を多く得られた。
経営トップも積極的に女性活躍を推進
立山科学グループでは、経営トップも女性活躍推進に対し積極的に取組みを進めている。
立山科学(株)代表取締役 水口社長は、富山県女性活躍推進戦略会議の委員長を務め、経営層へ働きかけをするなど、社内外で女性活躍推進に積極的に取り組んでいる。「女性活躍推進の活動そのものが企業風土・文化そのものを変革する突破口になり得ると思う。今後、女性活躍は企業をはじめ社会全体の課題になってくるという観点から、一生懸命、真剣に考え取り組んでいきたい」と話している。女性管理職研修では、「トップが覚悟を持って進める」と女性社員にとって心強いお言葉を述べられ、女性社員のモチベーションを引き上げた。
立山マシン(株)代表取締役 宮野社長は、女性管理職を育てるため、グループ内から幹部候補者を集め、自ら「女性幹部候補者研修」を企画し実施している。上司がメンターとなり進めるPBL型(プロジェクト型学習)をメインに、その他、外部セミナーや講演会への参加、個人指導など、女性社員の能力向上を進めている。
富山県女性財団サンフォルテ出前講座も積極活用
立山科学グループでは、2019年と2021年の2回、富山県女性財団サンフォルテ出前講座を活用し、女性役職者研修を実施した。2019年秋には、堀場製作所 理事 管理本部 HORIBA COLLEGE学長兼CSR担当 野崎治子氏、2021年冬には、積水ハウス常任監査役 伊藤みどり氏の講演を聴講した。研修は、女性役職者(昇格試験を1回以上経験)だけではなく、上司の方も参加した。女性役職者とその上司という組み合わせがポイントだ。必ずしも講座に積極的に参加したわけではなかった上司側のメンバーからも、終了後は「公平な場と機会を作り後押していきたい」「女性活躍を会社の経営課題として捉え、取り組むことが重要だと感じた」など好意的なアンケート結果が得られた。女性社員からも、「参考となる具体的な事例や共感できる部分も多く、前向きな気持ちになった」「みんな同じことを感じていることがわかり、その中で考え方を変えて仕事も楽しくしていくことが大切だと思った」「今後チャレンジしていきたい、頑張りたい」など、前向きな言葉をたくさん聞けた。
立山科学グループ
グループ従業員数:約1,300名、平均年齢:43.3歳、平均勤続年数:18.3年、管理者数86人
富山県富山市下番30
設立:1958年
事業内容:IT・サービス事業、電子部品事業、電子機器事業、自動生産設備事業、金属部品加工事業
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好事例の外部発信で他社も自社内にも好循環を
立山科学グループには、女性活躍の取組みやその成果もアピールすることで、他社にも刺激となる効果が期待できそう。経営層のメッセージも力強く、社長を含む経営層の研修やキャリア育成プログラム、富山県女性財団サンフォルテ出前講座の活用など、他社も参考にできる人材活用事例も豊富だ。ただし、女性社員の比率は2割で、女性管理職比率は3%程度とまだ高くはない。現場のリーダーの意識改革も途上の部分もあるが、好事例の外部発信を強化することで、自社内もポジティブフィードバックが回る好循環を創っていただきたい。
コンサルタント:永合由美子